音楽業界ではメジャーレーベルに属さないものをインディーズと呼びます。メジャーレーベルで世に出される作品は一般的に、レコーディングからミックスダウン、マスタリングに至るまで良質な設備や敏腕エンジニアのもとで制作されます。こうして楽曲の良し悪しはともかく、非常に質の良い音盤が出来上がるわけです。
対して、インディーズの作品ではセルフプロデュースで録音をおこなうことも多く、制作時に使用する機材もメジャーレーベルで利用されているようなものに比べると質のいいものとはいえません。ですが、ローファイなサウンドや垢抜けてないアレンジは楽曲そのものの良さを際立たせます。これはインディーズ特有の良さといえるでしょう。
まあ音楽の話はさておき、このインディーズという概念を他の分野にも当てはめてみましょう。仏像です。仏像を身近に感じている人はごく僅かだと思いますが、意外にも仏像は我々の身近なところに存在します。今回は身近な場所にあるインディーズ石仏を紹介します。
インディーズ石仏とは
仏像というと、東大寺の大仏や三十三間堂の千手観音像など、寺社に安置されていたり、指定文化財に登録されているものを思い浮かべる人が大半だと思います。水戸には文化財に指定されている仏像が22件あるようです。そういえば、常陸太田市旧水府村中染の鉄造阿弥陀如来立像が国の重要指定文化財に指定されたことも最近話題になりました。ここでは文化財に指定されていたり、神社仏閣で手厚く管理されているものをメジャーレーベルに見立てます。今回スポットを当てるのは、そういった特定の神社仏閣に祀られているメジャーな仏像ではなく、道端にひっそりと安置されている石仏です。身近にありながら普段見過ごすことが多い道端の石仏を鑑賞しながら、石仏のインディーズシーンについて考えていきましょう。
インディーズ石仏の例(千波町:払沢地蔵バス停前) |
石仏を読んでみよう。
さて、言葉だけで説明するのは難しいので、実際にインディーズ石仏を眺めていきましょう。
水戸市河和田町409の石仏(地図を表示) |
インディーズ石仏メモNo.1:地域住民に管理されている
インディーズ石仏メモNo.2:小屋に入っている
インディーズ石仏メモNo.3:一つの場所に数体ある
左から不明、青面金剛像、二十三夜供養塔、十九夜観世音 |
インディーズ石仏メモNo.4:いろいろ種類がある
インディーズ石仏メモNo.5:文字が彫られている
明和七年と刻まれている |
インディーズ石仏メモNo.6:仏像の後ろの石盤は光背という
インディーズ石仏メモNo.7:光背には石仏が彫られた時代が刻まれている
インディーズ石仏メモNo.8:かなり古い
かろうじて「…年十一月」とだけ読める |
インディーズ石仏メモNo.9:風化して年代がわからないものもある
インディーズ石仏メモNo.10:そんなときは潔く諦めよう
以上、石仏を読んでみよう。でした。
ちなみに一番右の十九夜観世音は、天保二年(西暦1831年)のものでした。大塩平八郎の乱とかに近い年代です。こんなに古いものがその辺に転がってるなんてワクワクしませんか?地域住民によって何世代にも渡って手厚く保護されてきたものなので、転がってるという表現は適当ではないですが、割と身近に、探してみるとかなり沢山見つけることができます。このあたりがインディーズ石仏鑑賞の楽しさだと思います。
ちょっと長くなってしまいそうなので、ここで第一回は終了します。次回は石仏の種類を見分けてみましょう。
関連リンク
その辺にある石仏の風化具合を愛でる(デイリーポータルZ):石仏に興味を持つきっかけになった記事です。石仏観賞の手引き:かなり参考にしています。
水戸市の指定文化財(彫刻):メジャーな方です。インディーズ石仏を見るとメジャー仏像の凄さもわかります。
インディーズ河川(石川初さん@hajimebsのツイート):名前の元ネタです。
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